【キリスト教・宗教】日本人の宗教観、信仰、生き方

特定の宗教を持たない

日本人の宗教観として大変特徴的なことは、特定の宗教は持たず、多くの人が無宗教だと言っていますが、神様を信じているということだと思います。したがって、日本人は何か特定の宗教活動はしないか、または宗教活動という認識はしていませんが、その生活は宗教心に基づいていると言うことができ、日本人にとって宗教と生活は一体となっていると言えます。

信仰心に基づいた生活

たとえば、多くの日本人が初詣に出かけます。初日の出を仰いで、手を合わせる人も多いでしょう。毎日、必ず神棚に手を合わせる人もいると思います。地鎮祭や葬儀は言うまでもなく、食前には手を合わせて、「いただきます」と言います。しかも、多くの日本人の感覚では、これらは宗教ではないという認識をしていると思います。

イエスが教えた「神の国」

新約聖書の福音書を見ると、イエスは宗教を守ることではなく、自己中心を退けて、神様を中心にして正しく生きる「神の国」について教えたことが記されていますが、それはこのような日本人の生活の中に見出すことができると思います。

個人だけでなく、全体を大切にする

また、イエスは旧約聖書の教えを一言でまとめると、神様を中心にして、隣人を愛して生きることだと言ったことが記されています。それは自分のことだけではなく、他者への配慮、つまり個人だけでなく、全体を大切にするという日本人独特の生き方の中に伝えられていると思います。

個人主義か、全体主義か

欧米で発展したキリスト教は個人主義に傾く傾向がありますが、それは決してイエスの教えではなかったと思います。もちろん、それは個人と全体のどちらが大切なのかという二者択一ではなく、どちらも大切であり、バランスの問題だと思いますが、個人の願望の追及の先に待っているのは幸福ではなく、不幸であることは間違いないと思います。

全体の中の個人という日本人の考え

日本人は、個人の幸福は全体の幸福によってもたらされるものであり、決して一人だけで幸せになれるとは考えていないと思います。それは個人を否定して、全体主義に奉仕するということではなく、全体の幸せのために自分ができる奉仕をすることによって、自分の幸せも守られるということです。大災害の時にも暴動にならない日本に世界が驚きましたが、それはこのような日本人の考え方に基づくものだと私は思います。

本来の日本人の心を意識する

ただ、そのような日本人の信仰も決して強いとは言えず、特に戦後は欧米から個人主義的な考え方が入って来て、個人の権利の主張などが強調されているので、本来のイエスの教えに基づく日本人の心が薄れて来ているように思います。今こそ自己中心を退け、神様を中心にした正しい生活を求め、人への配慮、全体への奉仕の中にこそ個人の幸せがあるという本来の日本人の生き方を意識的に取り戻す必要があるのではないでしょうか。

聖書を読みましょう

それでは今日も聖書の続きを読みましょう。聖書は宗教の戒律が記された教典ではなく、神様を中心にして生きようとしたユダヤ人の記録であり、私たち日本人の生き方のルーツです。キリスト教の教典としてではなく、神様を中心とした日本人の生き方を意識するために聖書を読んでいただきたいと思っています。

新約聖書 マタイの福音書 27章11~14節

さて、イエスは総督の前に立たれた。すると、総督はイエスに「あなたは、ユダヤ人の王ですか」と尋ねた。イエスは彼に「そのとおりです」と言われた。しかし、祭司長、長老たちから訴えがなされたときは、何もお答えにならなかった。

そのとき、ピラトはイエスに言った。「あんなにいろいろとあなたに不利な証言をしているのに、聞こえないのですか。」それでも、イエスは、どんな訴えに対しても一言もお答えにならなかった。それには総督も非常に驚いた。

ローマ総督の法廷に立つイエス

当時、イスラエルはローマの支配下にあり、総督とはイスラエルを管轄するローマ総督ポンテオ・ピラトのことを指しています。正式な裁判はローマ総督の下で行わなければならなかったのだと思います。イエスはピラトの法廷に引き出されました。

イエスの証言

そこでイエスは「ユダヤ人の王ですか」と問われ、「そのとおりです」と答えたとあります。神様から特別な権威を与えられたメシヤはユダヤ人の王として来られると考えられていたのだと思います。ここでイエスは自分がメシヤであることをローマの法廷で証言したということだと思いますが、それ以外は一切何も答えず、それにはピラトも非常に驚いたと記されています。

神様を中心にして生きることを教えたイエス

イエスにとって、自分がメシヤとして、神様から特別な権限を与えられた者であるという証言以上に重要なことは他にはなかったのかもしれません。それ以外の偽りの証言に一つ一つ弁明する必要はなかったのだと思います。

いかがでしたか

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