オバマ氏が広島を訪問

今日、現職のアメリカ大統領が戦後初めて被爆地広島を訪問し、平和記念公園で献花する。日本政府だけでなく、多くの日本人関係者はアメリカ大統領に謝罪を求めないとしており、歓迎の意を表している。以下、毎日新聞のウェブサイトからいくつか紹介します。

広島県原爆被害者団体協議会理事長の坪井直(すなお)さん(91)は「原爆投下で一生を棒に振った。腹の底では、思うこともある。しかし、こちらから謝罪を求めはしない。オバマ大統領が広島に来るのは歓迎。人類の過ちをよく知ってほしい」と話した。

湯崎英彦・広島県知事も10日夜、コメントを出し、「大変喜ばしく思う」と歓迎の意を表明。「核兵器国の現職の首脳として初めてで、特別なインパクトがある。停滞している核兵器廃絶の動きを再起動させる、世界中に希望を与える力強いメッセージを発信していただきたい」と期待を込めた。

オバマ米大統領の広島訪問決定を受け、松井一実・広島市長は10日夜、コメントを発表し、「心から歓迎する。平和記念公園で被爆の実相に触れ、被爆者の体験や平和を願う『ヒロシマの心』を共有してほしい」と訴えた。さらに、核兵器廃絶に向けて、「世界の指導者が共に歩みを進める具体的な道筋を示してほしい。国際的な動きを前進させる歴史的な出発点となることを期待する」とした。

田上富久・長崎市長は「困難な問題を乗り越えて、大統領が英断されたことに心から敬意を表する。大統領が直接、被爆の実相に触れることの意義は非常に大きく、歴史的な一歩である。被爆地から、大統領自身の言葉で『核兵器のない世界』の実現に向けた力強いメッセージを発信されることを期待する」とのコメントを発表した。

被爆の現実、その痛みを想像すれば、感情的には赦しがたいという思いは当然のことだろうと思う。しかし、憎しみに囚われているなら、前進もまたない。まさしく「忍び難きを忍ぶ」、それは感情ではなく意志であり、決意であることを思わされる。

イエス・キリストが許すことについて、次のように教えたことが聖書には記録されている。「そのとき、ペテロがみもとに来て言った。『主よ。兄弟が私に対して罪を犯した場合、何度まで赦すべきでしょうか。七度まででしょうか。』 イエスは言われた、『七度まで、などとはわたしは言いません。七度を七十倍するまでと言います。」

また、別の個所では、このように教えたと記録されています。「『自分の隣人を愛し、自分の敵を憎め』と言われたのを、あなたがたは聞いています。しかし、わたしはあなたがたに言います。自分の敵を愛し、迫害する者のために祈りなさい。それでこそ、天におられるあなたがたの父の子どもになれるのです。天の父は、悪い人にも良い人にも太陽を上らせ、正しい人にも正しくない人にも雨を降らせてくださるからです。自分を愛してくれる者を愛したからといって、何の報いが受けられるでしょうか。取税人でも、同じことをしているではありませんか。また、自分の兄弟にだけあいさつをしたからといって、どれだけまさったことをしたのでしょう。異邦人でも同じことをするではありませんか。だから、あなたがたは、天の父が完全なように、完全でありなさい。」

何も私はアメリカが今もなお敵だと言っている訳ではありません。このイエス・キリストの教えは感情ではありません。気持でもありません。意志であり、決意だと思います。憎しみという感情そのものの放棄です。それがキリストの教えであり、聖書のメッセージのうちの1つだと思います。昨日、塩野七生さんの記事にそのような気高い日本人の心を見る思いがいたしましたが、塩野さんだけではなく、これが日本人の心だと毎日新聞の記事を見て、今日、あらためて感じ入りました。