藤原正彦著「日本人の誇り」から一部を抜粋してご紹介しています。ぜひ、本書を手に取って、全文を読んでみてください。
理屈だけで社会は動かない
実は今、頽廃に直面しているのは日本ばかりではありません。・・・産業革命以来、世界は欧米の主導下にありました。それは、論理と合理と理性を唯一の原理として進む文明でした。帝国主義も共産主義も新自由主義も、その原理から生まれたモンスターでした。どれにも理路整然とした論理があります。二十世紀になってから世界中で一斉に噴出し始めた困難は、この原理の行き詰まりを意味します。
帝国主義から共産主義、そして新自由主義へ
論理、合理、理性は無論、最重要のものであり断じて否定されるべきものではありません。・・・ただ、それだけで人間社会を仕切るのは不可能ということが露呈したのです。帝国主義と共産主義の誕生から滅亡への過程で人類は恐ろしい犠牲を払いました。現在は新自由主義の破綻で苦しんでいます。
リーマンショック以降
リーマンショックからギリシア危機、ユーロ危機に至る一連の危機の原因の大半はデリバティブ(金融派生商品)にあります。確率微分方程式というかなり高度な数学を用いた経済理論にのっとった論理の権化と言えるものです。ホリエモンが時代の寵児としてもてはやされていた六年前に拙著『国家の品格』を上梓しましたが、その中で次のように記しました。
「国家の品格」より
「(デリバティブは)現状では最大級の時限爆弾のようなものとなり、いつ世界経済をメチャクチャにするのか、息をひそめて見守らねばならないものになっています。しかもなぜか、これに強力な規制を入れることも出来ない。そもそもマスコミはこれに触れることすら遠慮している。このように、資本主義が資本主義の論理を追求していった果てに、資本主義自身が潰れかねないような状況に、だんだんなってきているのです」
まだ続く
エコノミストから大分批判された部分でしたが、その通りになってしまいました。そしてやっと近頃になって、アメリカや欧州で規制が言われ始めています。現在の経済危機はまだまだ続きます。世界は誤った新自由主義による金融不安や不況に苦しめられているものの、未だ各国が打ちのめされていないからです。
欧米は他のパラダイムを知らない
懲りない欧米、特に米英は未だに新自由主義を根本から見直そうとせず、同じパラダイムの中で物事を解決しようとしています。他のパラダイムを持ち合わせないからです。欧米以外の諸文明に生きる人々は、このパラダイムから適切な距離を置きつつ、自らの文明を少しずつ取り戻すことです。
ローカリズム
「効率、能率、便利、快楽、なかんずく富、こそが幸福」と大いなる勘違いをし、それらばかりを求めるグローバリズム。大きくは欧米文明への追随に訣別し、各国はその国柄を大事にすることです。新しいローカリズムです。
日本の出番です!
とりわけ我が国は、真に誇るべき文明を育んだ国でした。それに絶大な誇りを持ってよいのです。・・・祖国への誇りを持って初めて、先祖の築いた偉大なる文明を継承することができ、奥深い自信を持つことができ、堂々と生きることができるのです。アメリカの横暴やロシアの不誠実を諫め、中国の野卑を戒め、口角泡を飛ばし理屈ばかり言う米中に「論理とはほとんど常に自己正当化にすぎないものですよ」と諭すこともできます。世界を動かすシステムに日本の視点から堂々と注文をつけることもできるようになるのです。(本からの引用は以上です。)
聖書を読みましょう
それでは今日も聖書の続きを読みましょう。聖書は日本人の文化、伝統、歴史、国民性のルーツです。キリスト教の教典としてではなく、日本人として聖書を開く時、そこに古くて新しい発見があることでしょう。
新約聖書 使徒行伝 6章8~15節
さて、ステパノは恵みと力に満ちて、民衆の中で、めざましい奇跡としるしとを行っていた。すると、いわゆる「リベルテン」の会堂に属する人々、クレネ人、アレキサンドリヤ人、キリキヤやアジヤからきた人々などが立って、ステパノと議論したが、彼は知恵と御霊とで語っていたので、それに対抗できなかった。
そこで、彼らは人々をそそのかして、「わたしたちは、彼がモーセと神とを汚す言葉を吐くのを聞いた」と言わせた。その上、民衆や長老たちや律法学者たちを煽動し、彼を襲って捕えさせ、議会にひっぱってこさせた。
それから、偽りの証人たちを立てて言わせた、「この人は、この聖所と律法とに逆らう言葉を吐いて、どうしても、やめようとはしません。『あのナザレ人イエスは、この聖所を打ちこわし、モーセがわたしたちに伝えた慣例を変えてしまうだろう』などと、彼が言うのを、わたしたちは聞きました」。
議会で席についていた人たちは皆、ステパノに目を注いだが、彼の顔は、ちょうど天使の顔のように見えた。
ステパノ
ステパノはイエスの12弟子ではありませんでしたが、弟子たちの言葉に聞き従い、自己中心、人間中心を退けて、神に立ち帰り、神を中心にして生きる者となっていたのでしょう。彼は恵みと力に満ちて、民衆の中でめざましい奇跡としるしを行っていたと記されています。諸外国に住むユダヤ人たちで、イエスの教えを受け容れない人々はステパノを妬み、訴えましたが、ステパノの顔は天使の顔のように見えたとあります。私たちもまた神に目を留めて生きるなら、ステパノのように生きることができるのではないでしょうか。
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目次
一章 世界から称賛される日本人の国民性
二章 日本人の宗教観
三章 古代日本にやって来たユダヤ系渡来人の影響
四章 日本人の信仰
五章 「人生の目的」
六章 「人間関係」
七章 「子供の教育」
八章 「恋愛・結婚」
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目次
第一章 学園の日常
第二章 イエスの教え
第三章 神と共に生きる
第四章 私が得たもの
第五章 古代ユダヤ人によって日本にもたらされた信仰
第六章 日本人の幸せ
第七章 日本の危機
第八章 求められているもの
第九章 信じるということ
第十章 宗教ではない
第十一章 日本人の宗教観
第十二章 現実逃避なのか
第十三章 神と共に生きる
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