日本とイスラエルに関連する事柄について、アビグドール・シャハン著「古代日本に辿り着いたユダヤ人・失われた十部族の足跡~イスラエルの地から日本まで」からご紹介いたします。
ベン・ズーマ
タルムードのブライダ(ミシュナー外典)には、ベン・ズーマという優れた神秘主義者の、次のような面白い物語が残されている。
ラビ・ヨシュアがイスタルタを歩いていると、向こうからベン・ズーマがやって来た。ベン・ズーマは彼のところに来たが、安否を尋ねなかった。彼はベン・ズーマに言った。「ベン・ズーマ、どこから来て、どこへ行くのですか?」彼は言った。「私は天地創造の業を見ていた。上の水と下の水の間には、わずかな隙間もなかった。聖書には『神の霊が水の面を動いていた』とあり、また『鷲が巣を揺り動かし、雛の上を飛びかけり』とある。この鷲が、その巣に触れるか、触れないかのようにして飛ぶように、上の水と下の水の間には、わずかな隙間もない。その時ラビ・ヨシュアはその弟子たちに言った。「すでにベン・ズーマは外にいる」。それから間もなく、ベン・ズーマはこの世から取り去られた。
賢者以外には封印された伝承
私の考えでは、彼が死の判決を受けたのは、水と水の間の隙間について話したからではなく、賢者以外の者たちには封印されていた伝承を、明らかにしてしまったことにある。古代においては、ユダヤ賢者たちの間にはもう一つの伝承が伝えられていた。しかし、やがてこの伝承は秘匿され、語ることも伝えることもされなくなった。ベン・ズーマが犯した罪が何であったか、そのヒントは古事記の創造物語での描写にある。古事記における、天地が作られたあとの描写は次のようになっている。
次に国土がまだ若くて固まらず、水に浮いている脂のような状態で、水母のように漂っているとき、葦の芽が泥沼から萌え出るように、萌えあがる力がやがて神となったのが、ウマシアシカビヒコヂノ神であり、次にアメノトコタチノ神である。この二柱の神も単独の神として成り出て、姿形を現されなかった。以上の五柱の神は、天つ神の中でも特別の神である。
神に並ぶ存在
ここにはまるで、天地の創造者である至高の存在(神)と同じように、自ら生まれ出た二つの別の存在があるのである。これは聖書の記述、聖書の世界観、ただ一つの存在を信じる、唯一神への信仰などと相容れない。興味深いのは、水と水との分離を描写した聖書の記述である。次のように書いてある。「神は言われた。『水の中に大空あれ。水と水を分けよ。』神は大空を造り、大空の下と大空の上に水を分けさせられた。そのようになった。神は大空を天と呼ばれた。夕べがあり、朝があった。第二の日である。」この記述には、水と水とが分離される時に起きた、ある出来事に関する秘密が隠されている。古事記によれば、その出来事とは、同時にもう二つの原始的存在が誕生している、ということである。この伝承は、聖書編者の精神とは一致しなかった。そこで編纂者は、この日については、他の日々に書かれているように「神はこれを見て、良しとされた」という言葉を入れず、ただ「夕べがあり、朝があった。第二の日である」とのみ言ったのである。
古事記に残されたイスラエルの伝承
創造のはじめに、他の二つの存在が誕生していたことを語るこの古い伝承は、ベン・ズーマの死を持ってしか、封印できなかったのである。しかし、聖書の編者がこの伝承を葬り去る前にイスラエルの地を追われた十部族は、この伝承を古事記の中に残したのである。(本からの引用は以上です。)
聖書を読みましょう
それでは今日も聖書の続きを読みましょう。聖書は日本とイスラエルの共通のルーツです。キリスト教の教典としてではなく、日本人の心を知るために聖書を読んでみてください。
新約聖書 ルカによる福音書 22章39~46節
イエスは出て、いつものようにオリブ山に行かれると、弟子たちも従って行った。いつもの場所に着いてから、彼らに言われた、「誘惑に陥らないように祈りなさい」。そしてご自分は、石を投げてとどくほど離れたところへ退き、ひざまずいて、祈って言われた、「父よ、みこころならば、どうぞ、この杯をわたしから取りのけてください。しかし、わたしの思いではなく、みこころが成るようにしてください」。
そのとき、御使が天からあらわれてイエスを力づけた。イエスは苦しみもだえて、ますます切に祈られた。そして、その汗が血のしたたりのように地に落ちた。祈を終えて立ちあがり、弟子たちのところへ行かれると、彼らが悲しみのはて寝入っているのをごらんになって、言われた、「なぜ眠っているのか。誘惑に陥らないように、起きて祈っていなさい」。
みこころが成るように
イエスにとっても十字架の死は耐えがたい程の苦しみであったことが分ります。しかし、イエスは自分の思いを中心にしないで、神のみこころが成るようにと祈りました。それがイエスの使命であり、そのためにこの地上に来られたということでしょう。たとえ困難であっても、神のみこころに生きるという生き方があることが分ります。
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本書の目次
一章 世界から称賛される日本人の国民性
二章 日本人の宗教観
三章 古代日本にやって来たユダヤ系渡来人の影響
四章 日本人の信仰
五章 「人生の目的」
六章 「人間関係」
七章 「子供の教育」
八章 「恋愛・結婚」
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