戦前までの道徳の教科書であった「修身」では、夫婦のあり方について、どのように教えていたのでしょうか。以下、尋常小学5年生修身の教科書から、その一部をご紹介いたします。
父母の模範
松蔭が妹に与えた手紙に、「自分たちの家には、りっぱな家風がある。神様を敬うこと、祖先を尊ぶこと、親類とむつまじくすること、学問を好むこと、又田畑を自分で作ることなどである。これらのことは、父母の常になされるところであって、自分たちはそれにならわなければならぬ。これが孝行と申すものである。」と教えてあります。
松蔭の母
松蔭の母は、瀧子といいました。二十歳の時、百合之助に嫁(か)し、よく夫を助けて野に出て田畑を耕したり、山へ行って薪(たきぎ)をとったりして、仕事に骨折りました。又よく姑(しゅうとめ)に事(つか)え、我が子の養育につとめ、裁縫・洗濯のことから家事一切をひとりで引受けて、かいがいしく立働き、馬を飼う世話まで自分でしました。
瀧子は、姑によく事えました。三度の食事には温かい物をすすめ、衣服は柔らかい物を着せていたわり、裁縫する時などは、姑の側で、喜ばれるような話をしてきかせてなぐさめました。
又姑の妹が此の家に世話になっていたが、或時、重い病気にかかりました。瀧子は久しい間、夜もろくろく寝ずに介抱したので、姑は、「忙しくてひまがないのに、親類の世話まで親切にしてくれて、まことにありがたい。」と言って、涙を流して喜びました。
後、百合之助は、藩の役人に取立てられて、役宅にうつりましたが、瀧子はとどまって、よく家をととのえ、松蔭たちの養育につとめました。
夫婦が心をあわせる
松蔭の父母は、かように心をあわせて、父は業務にはげみ、母は夫を助けて家をととのえ、又共に我が子の教育に力を用いましたので、家も栄えるようになり、子供は皆心掛けのよい人になりました。(本からの引用は以上です。)
本当の喜び
もちろん、今の日本とは時代が違い、生活様式の違いもあり、そのまま真似れば良いということでもないと思いますが、ここには引き継ぐべき大切な精神があるのではないかと思いました。それは自己中心ではなく、神様を中心とした正しい生活とは何かということではないでしょうか。そして最も大切なことは、単にそれは立派な生き方であるということではなく、そこに人間としての本当の喜びがあるということではないかと思いました。
聖書を読みましょう
それでは今日も聖書の続きを読みましょう。聖書は神様を中心にして正しく生きようとした人たちの記録であり、実は日本人の信仰と生活のルーツでもあるということです。キリスト教という西欧の宗教の教典としてではなく、日本人として、神様を中心にして幸いな人生を生きるためにも聖書を読んでいただきたいと思っています。
新約聖書 マタイの福音書 6章25~34節
だから、わたしはあなたがたに言います。自分のいのちのことで、何を食べようか、何を飲もうかと心配したり、また、からだのことで、何を着ようかと心配したりしてはいけません。いのちは食べ物よりたいせつなもの、からだは着物よりたいせつなものではありませんか。
空の鳥を見なさい。種蒔きもせず、刈り入れもせず、倉に納めることもしません。けれども、あなたがたの天の父がこれを養っていてくださるのです。あなたがたは、鳥よりも、もっとすぐれたものではありませんか。あなたがたのうちだれが、心配したからといって、自分のいのちを少しでも延ばすことができますか。
なぜ着物のことで心配するのですか。野のゆりがどうして育つのか、よくわきまえなさい。働きもせず、紡ぎもしません。しかし、わたしはあなたがたに言います。栄華を窮めたソロモンでさえ、このような花の一つほどにも着飾ってはいませんでした。きょうあっても、あすは炉に投げ込まれる野の草さえ、神はこれほどに装ってくださるのだから、ましてあなたがたに、よくしてくださらないわけがありましょうか。
信仰の薄い人たち。そういうわけだから、何を食べるか、何を飲むか、何を着るか、などと言って心配するのはやめなさい。こういうものはみな、異邦人が切に求めているものなのです。しかし、あなたがたの天の父は、それがみなあなたがたに必要であることを知っておられます。
だから、神の国とその義とをまず第一に求めなさい。そうすれば、それに加えて、これらのものはすべて与えられます。だから、あすのための心配は無用です。あすのことはあすが心配します。労苦はその日その日に、十分あります。
神様を中心にする
生活が中心、お金が全てという生き方ではなく、神様を中心にして正しく生きること。そういう者を神様はないがしろにすることはないとイエスは教えたのだと思います。目には見えませんが、神様が私たちの生活の全てを守っていてくださる。だから生きることは目的ではなく、どう生きるのかということが大切だということだと思います。日本人は太古の昔からそのように生きて来たのだと思います。
いかがでしたか
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今日も最後までお読みくださり、ありがとうございました。